桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー
『鈴香!』
ガチャ、と勢いよく
ドアを開けると、
部屋の床に鈴香が倒れていた。
『鈴香! 鈴香!…鈴香!!』
苦しそうに胸を押さえる
鈴香を見て、
私はどうしたらいいのか
分からなかった。
震える手で救急車を呼んで、
救急車が来るまでは
鈴香の手を握って、
鈴香の無事を祈るしか
なかったんだ。
救急車が来た後のことは、
まるで覚えていない。
ただ呆然として、
突っ立っていただけだった。
なんで?どうして鈴香が?
きっと、そんな気持ちで
いっぱいだったんだと思う。
そして、その翌日。
真剣な顔をした
医師の口から告げられたのは、
とんでもない事実だった。