桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー
涼は、色々なことを教えてくれる。
“当たり前”
って思ってたことが、
決して当たり前ではないこと。
健康でいられること、
学校へ行けること、
そして…生きていること。
涼は、自分の病気のことを
詳しく話さなかった。
“重い心臓病”
っていうことだけしか、
教えてくれない。
ううん、違う。
教えてくれないんじゃなくて、
私が聞かないだけ。
聞いてしまったら、
また涼が
寂しそうな顔を
するんじゃないかって。
涼の寂しそうな顔を、
もう見たくないから。