桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー
「涼......?ねぇ、涼?」
涼はベッドで寝ているみたいだけど、
返事をしない。
「涼!」
「......ん.........」
「涼!」
涼はゆっくりと目を開けた。
「絢香.........どうした......」
「涼!よかった......」
よかった。
意識がないのかと思った.........。
「意識、失ってんのかと思った......。
寝てただけなら......よかったぁ......」
本当に、本当にびっくりした.........。
ベッドに顔をうずめて泣いている
私の頭を、涼がぽんぽん、と叩いた。
「ごめんごめん。寝てただけだよ」
私の泣き声を聞きつけたのか、
沙耶と看護師さんが
ガラッと扉を開けて入ってきた。