桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー
待合室にいても重い面持ちで
俯いている私の隣で、
沙耶が言った。
「絢香、そんな暗い顔しないの。
涼なら大丈夫だよ。
絢香がそんな顔してたら、
涼も辛いと思う」
「………そう、だね」
しばらくすると、
沙耶が「飲み物買ってくるね」
と言って売店に行った。
不意に、さっき涼にもらった紙を
手で握りしめていたことに気づく。
何が書いてあるんだろう……。
私は、その小さな紙を開いた。