キスから始まる方程式


目を丸くして桐生君を見つめる私に「ごちそうさん」と、桐生君がぶっきらぼうに呟いた。



「なんで……」

「ん?」

「なんで……そんなことするの……?」

「……」

「なんで私なんかのために、そこまでしてくれるの!?」



私と桐生君の視線が交差する。



「なんでってそりゃ、俺がお前に惚れてるからに決まってんだろ」

「っ! だ、だって私は翔のことが……」

「あー……、そんなのべつにわかってるよ。さっきも言ったけど、そうそう気持ちなんて変わるもんじゃねえし……」

「じゃあどうしてっ」

「だから……あんなヤツ俺が忘れさせてやるよ」

「っ!」
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