キスから始まる方程式


* * *



「お疲れ様~」

「お疲れ~っ!」



その日の放課後。


バレー部の部活を終え部室で着替えをしている最中である。



……やっぱり、翔の昼間の態度が気になるな……。



心ここにあらず、といった面持ちで制服のリボンを結ぶ私。


無言のまま一通り帰り支度を終えると、そのまま出口へと向かった。



「お先っ」

「あれ? 七瀬、ずいぶん今日は早いじゃん。急ぎ?」

「うん、ちょっとね……。んじゃっ」



いつもなら部員達と他愛のない雑談などを楽しみながらゆっくりと家路につくのだが、今日はとてもそんな気にはなれない。


とりあえずみんなには心配をかけないよう笑顔を取り繕い挨拶をし、ひとり足早に部室をあとにした。

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