キスから始まる方程式
ガチャッ
ドアを開ける勢いも、どことなくいつもより鈍い気がする。
翔のことで頭がいっぱいで、それ以外の何もかもがとにかく気怠かった。
「うへ~っ! 今日の練習もきつかったな~っ」
「だよなぁ。俺もうヘトヘトでこれ以上歩きたくね~よ……」
あ……。 サッカー部の子達……。
外へ出ると同時に視界に飛び込んで来たサッカー部の部員達。
同じ部室棟の一番端にある部室がサッカー部の部室だった。
みんな泥だらけ……。練習、大変そうだな……。
疲れ切った体を引きずるようにして部室へと消えて行くサッカー部員達を、しばらく立ち止まってぼんやりと見つめる。
……ここで待ってたら、翔に会えるかな……。
半分停止しかけた頭でそう考えた私は、しばし部室の前で翔が出てくるのを待つことにした。