キスから始まる方程式


ドクンッ



翔の一言に、私の胸が悲鳴をあげる。



「お前は俺の心配より桐生のことを一番に考えなくちゃいけないし、俺も南條のことを一番大切にしなくちゃいけねーんだよ……」

「なんで……」



なんでそんなこと言うの……?


私と翔が幼なじみでしかないなんてわかってる……。


翔が南條さんのこと大切に思ってるってことくらい、言われなくてもわかってるよ。


わかってるから、余計そんなこと翔の口から聞きたくなかったのに……っ。



そんな痛みで張り裂けそうな私の心に更に杭を打ち込むように、カゴのボールに視線を落としたまま翔がポツリと呟いた。
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