キスから始まる方程式


「えっ? な、何っ!?」



ゾクリとするほど冷たい桐生君の大きな手が、私の手を包み込む。



桐生君の手……凍えそうなほど冷たい……。



しかしその手は私からすぐに離れ、再び桐生君のポケットへとおさまった。



……何だろう……?



怪訝に思いながらも、恐る恐る自分の両手の平の中に押し込められた物に目を凝らす。



「っ!?」



朝露でじっとりと湿ったそれは、私が今最も探し求め、幼い頃からずっと大切にしてきた物だった。

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