キスから始まる方程式


ビクッ



突然頬に触れた私の手に驚いたのか、桐生君の体が小さく跳ね上がる。



「こんなに……冷たくなってまで……」

「七瀬……?」

「……ほんっと、桐生君てバッカじゃないの!?」

「お、お前……、こんだけ頑張った俺にバカって……」

「バカだからバカって言ってんの! 私なんかのためにこんな思いまでして……っ」



胸の熱さがどんどん増し、瞳から大粒の涙が溢れ出した。



「風邪ひいちゃったら……っ……どうするの!?」

「七瀬……」

「こんな寒い中じゃ……、風邪どころじゃなく死んじゃうよ……っ」

「七瀬……ごめん……」

「うっ……ひっく……っ」



桐生君の頬に触れている私の手に、そっと桐生君の手が重ねられる。


冷たい手とは裏腹に、桐生君の温かい優しさが流れ込んできて、私の心がキュンと締めつけられた。
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