キスから始まる方程式
◆決別と受諾
一週間後 ――
「え~っと……卵焼きにぃ、タコさんウインナーにぃ、最後に唐揚げ入れてっと……。よし! 完成~っ!!」
ようやく完成したお弁当を、壊れ物でも扱うかのように慎重にキッチンのテーブルの上へと置く。
「ふむ。私が作ったにしては、なかなかの出来栄え」
腕組みをしながら出来上ったお弁当を自画自賛し、しみじみと眺める私。
朝4時に起きて作った力作だけに、感慨深さもひとしおだった。
「むふふ~っ。七瀬ってば、いったい誰のためにそんなに頑張ってお弁当作ってるのかな~」
よしよしと感動に浸っている私の背後から、突然なにやら意味ありげな声が聞こえてきた。
「っ!? お、お母さん!」
「くふふ~っ」
慌てて後ろを振り返ると、キッチンの入り口から顔だけ出すようにして、お母さんがニヤニヤとこちらを覗いていた。
「べ、べつにっ、たまには自分でお弁当作ってみようと思っただけでっ」
「え~っ? ならなんでお弁当が二個も並んでるの~?」
「うっ……、それは……」
なんでそんな細かいとこまで見てるのよ!
お母さんの鋭い突っ込みに、思わず怯む私。