キスから始まる方程式
くれぐれも先生と行き会ったりしませんよ~に。
そう心の中で願いながら、大急ぎで進んで行く。
中庭に差し掛かるところで急停止した私は、念のため先生がいないか確認するために、曲がり角になっている建物の陰から中庭の様子を窺った。
いくらなんでも、まさかこんな所に先生いたりしないよね~? ……って……。 あれは……南條さんと……翔!?
油断しきっていた私の瞳に、先生よりもっと会いたくなかった二人の姿が突如飛び込んで来た。
なんでこんな時に会っちゃうの……!?
二人が一緒にいるところを見ているだけで、私の中に苦い物がこみ上げてくる。
どうしよう……。戻ろうか……。
さすがに二人がいる中庭を通るわけにもいかず、元来た道を戻ろうとする。
するとそんな私の耳に、なにやら二人が言い争うような声が聞こえてきた。