キスから始まる方程式


「ねぇ、桐生君……」

「ん? どした?」

「忘れさせて……くれる……?」

「え……?」

「本当に翔のこと……忘れさせて……くれる……?」

「っ!」



突然の私の言葉に、桐生君が驚いた顔をして目を見開き息を呑む。




一瞬の間の後……



「ったりめーだろ」

「……っ」



隣に座っていた私の体をグッと引き寄せ、桐生君が嬉しそうにそう呟いた。



ゆっくりと閉じた私の瞳から、スッと一筋の涙がこぼれ落ちる。



「七瀬……」

「ん……」



その涙を拭うように、桐生君が私の頬へそっと優しく口づけをした。

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