キスから始まる方程式


そんな中、突然私の中に沸き起こる悪魔の心。



これだけグッスリ寝てるんだったら、ちょっとくらい唇に触れても……大丈夫……じゃない?



それを否定するように、天使という名のもう一人の私が反論する。



い、いやっ、それってばなんだか寝こみを襲うみたいだし……!


第一途中で起きちゃったら……!



桐生君の寝顔をチラチラと横目で見ながら、挙動不審になる私。



でもでもっ、ちょっと触るくらいだったら……。


キスするわけじゃないんだし、今後のちょっとした訓練も兼ねて……。


訓練……そうっ、訓練! うんっ! それならべつにやましくないよね!!



全くわけのわからない理由をこじつけて、無理矢理自分を納得させる。


念のためキョロキョロと周りを見回し人がいないことを確認した私は、ゴクリと生唾を飲み込むと、恐る恐る桐生君のキレイな唇へと手を伸ばした。
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