キスから始まる方程式


「……ばっか……」

「え……?」

「必死に我慢してんのに、んな可愛いこと言われたらまたキスしたくなるっての……っ」

「っ!!」



空いているほうの手で前髪をクシャリと握りしめながら、照れたように顔を背ける桐生君。



繋いでいる手も、心なしか先程よりも熱い気がする。



「ご、ごめんっ……」

「……謝んなよ……っ」

「えっと、あの……あたし……どう……したらいい……?」



何をしたらよいかわからなくて、堪らず桐生君に問いかける。



「っ!? …………」



しばらくの沈黙の後、桐生君から返ってきたのは意外な言葉だった。



「じゃあ……俺の頼み一つ聞いてくれないか?」

「頼み?」



いったい何だろう?


はっ! まさか変なお願いとかじゃないよね!?

でもでも、バリバリ肉食系な桐生君だったら、もしかしてもしかするかも!?



頭の中でいかがわしい妄想を膨らませながら、勝手に焦りだす私。


そんな私にはおかまいなしに、桐生君がそのお願いとやらを口にした。
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