キスから始まる方程式
「っ! っだ~~~っクソ!!」
「へっ!?」
そんな私の恥ずかしさを吹き飛ばすように、突然桐生君が声を荒げた。
そうかと思うと、次の瞬間にはサラサラの前髪をクシャリと握りしめ、顔を赤らめながらガックリとうなだれている。
「あ、あの……桐生君……?」
私、何か桐生君を怒らせるようなこと言っちゃったかな……?
不安に思いながら恐る恐る桐生君の顔を覗き込むと、切なげな瞳で桐生君が私を見つめてきた。
「~~~っ! だからっ……七瀬ってば可愛すぎだっつ~の!」
「なっ!?」
予想外の言葉に、顔を真っ赤にして停止した私へと伸びてくる桐生君の長い指先。
私の頭を優しく引き寄せると、そのまま額にそっと口づけをした。
「今日のところは……これで我慢しとく……」
そう言って、はにかみながら微笑む桐生君。
「……うん」
私もそれに応えるように笑顔で頷くと、互いに顔を見交わしながら極上の幸せを分かち合ったのだった。