キスから始まる方程式
◇神様のイタズラ


桜の花びらが春風に揺られ、クルクルと舞い落ちる。


頬を撫でる朝の空気も冬のものとは違い、どことなく柔らかだ。



「おっはよ~」

「久しぶり~! 元気だった~?」



校門をくぐると、春休みが明けて久々の友との再会を喜び合う声が、そこかしこから聞こえてきた。



私ももう三年生になっちゃったのかぁ……。



入学当初と比べだいぶくたびれてきた自分の制服を見下ろし、フッと苦笑を漏らす。


この制服と共に体験した嬉しいことや悲しいことが次々と頭の中に浮かんでは消え、私の胸をキュッと締め付けた。



なんだかんだいって、色々あった二年間だったな。



歩みを止め、大きく息を吸いながら青空を見上げる。



今年はいったい……どんな一年になるんだろう……。



淡い期待と一抹の不安を胸に、再び一歩ずつゆっくりと歩き始めた。
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