キスから始まる方程式
「七瀬、クラス表もう見たの?」
「ううん、見るには見たんだけどなかなか自分の名前が見つかんなくて……」
「あはっ! 七瀬、今年は私と一緒のクラスだよ!」
「ほんと!? うっわ、やった~!」
手を取り合いピョンピョン跳ねながら喜び合う私と麻優。
親友ではあるものの、不運にも1、2年生の時は別々のクラスだったため、その分喜びもひとしおだった。
「それで、他には誰が同じクラスなの?」
「え……?」
私の何気ない質問に、一瞬麻優が言葉を詰まらせる。
「? あれ? 麻優、もうクラス表確認したんでしょ?」
「う、うん、まぁ……」
突然歯切れが悪くなった麻優に、再び同じ質問をぶつけてみる。
「だったら、他には誰がいたの? バレー部の子もいたりした?」
「あはは……えっと……」
……? 麻優、どうしたんだろ?
やはりどこか煮え切らない麻優の態度と返答に首を傾げる私。
「麻優、どうし……」
「七瀬! と、とりあえず教室行こうよっ」
「え? でも」
「表なんて見なくたって、直接教室に行けば誰が同じクラスなのかすぐわかるんだし……ねっ?」
そう言いながら私の手を、麻優がグイグイと引っ張る。
まぁ確かに、それもそうか。
「うんっ、そうだね! じゃあ教室に行こっか」
特に深く考えずそう返事をした私は、麻優に手を引かれるまま新しい教室へと向かった。