キスから始まる方程式


「三年H組かぁ」



教室入り口に設置されたクラスプレートを見上げポツリと呟く。


二年の時もH組だったため、代わり映えのしないクラス名になんとなく落胆を覚える。



せっかく麻優と同じクラスになれたんだから、新規一転クラス名も変わればよかったのになぁ……。



そんなことを考えながら、軽い気持ちで入り口をくぐった。




ざっと教室内を見渡すと、数人の友達同士でまとまっている集団がいくつかと、ひとりで静かに席に座っている生徒が数人、目に飛び込んで来た。



「バレー部の子はいないみたいだね」

「うん、そうみたい」



いささかガッカリしながらも、鞄を置くため出席番号順で定められた自分の席へと向かおうとした時、ひときわ賑やかな集団の中心にいる人物に目が留まった。



ドサッ



あまりの衝撃に、持っていた鞄をおもわず床に落とす私。


そんな私にようやく気付いたその人物が、片手を上げて声をかけてきた。
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