キスから始まる方程式
予想外の展開と心の奥底から沸々とわいてくる怒りに、持っていた鞄を荒々しく机の上に置く私。
周りの人がギョッとして私のほうを振り返ったのだが、半パニック状態の私にはそんなことを気にしている余裕などなかった。
やっぱ桐生君てばモテるんだ。そんなのわかってたけど……なんかムカつく!
今まではフリーだったからあれだけモテてたのかな、なんて甘いことを考えていた自分にも腹が立つ。
彼女がいようがいまいが、あれ程カッコイイとどうやらそんなことは関係ないらしい。
それに加え桐生君が元々持っている、女の子に対しての“来るものは拒まず”的な性格も相まってのことなのかもしれない。
あっ!もしかして麻優の様子がおかしかったのって、桐生君が同じクラスだったからとか?
内緒にして私を驚かせようとしたのかな。
いや、待てよ……?
察しがいい麻優のことだ。
もしかするとこんな事態になることを、薄々懸念していたのかもしれない。
そんなことを鬱々と考えていると、女の子達の群れをかき分けて近付いてきた桐生君に再び声をかけられた。