キスから始まる方程式
今……なんて……?
自分の耳を疑うように、先程の工藤さんの言葉を頭の中で反芻させる。
『私のこと待っててくれなかったんだね』
確かにそう聞こえた言葉の真意を測りかねて、色々な憶測が一斉に頭の中を駆け巡る。
ドクン……ドクン……と脈づく不安が更に速度を増し、私の中に危険信号を打ち鳴らした。
ガタンッ
そんな私の心に更に追い打ちをかけるように、桐生君が突然勢いよく立ち上がった。
「桐生君……」
おもわず私の口から漏れ出た声に、クシャリと苦しげに顔を歪める桐生君。
「七瀬……凛の言った事、気にしなくていいから……」
「え……?」
それだけ言い残すと、桐生君は工藤さんの手首を強引に掴みそのまま教室の外へと出て行ってしまった。