キスから始まる方程式
それを皮切りに、ドッとざわめきが教室中に広がる。
「え~っ!? あれってばすっごく意味深発言じゃない?」
「どう見ても修羅場だよ、修羅場!」
「あんな女が冬真とあやしい関係だなんて許せな~いっ」
またしても好き放題に言葉を発する生徒達。
そんな中、麻優が心配そうに私のもとへ近付いてきた。
「七瀬、大丈夫?」
不安げに瞳を揺らしながら私の顔を覗き込んでくる麻優。
麻優に心配をかけたくなくて、私はわざと明るい声で返事をした。
「あ……、うんっ! 全然大丈夫だよっ。桐生君と工藤さん、なんか知り合いだったみたいだね」
「七瀬……」
なるべく呑気げに聞こえるよう、言葉を選びながら答える私。
そんな私を更に気遣うように、麻優が何かを言おうとした。……のだが
キーンコーンカーンコーン
それと同時に、二限目の授業開始を告げるチャイムの音が鳴り響いた。