キスから始まる方程式
「また……やっちゃった……」
見えなくなった翔の背中を、目を閉じて頭の中に思い浮かべてみる。
昔から何かというと憎まれ口を叩いて翔のことを怒らせてばかりだった私は、こうやって私を置いて遠ざかって行く翔の背中を今まで何度も見てきた。
どうしていつまでたっても成長できないんだろう……。
そもそも瀬戸君と付き合ったのだって、ただ単に翔のことを忘れたかったから。
翔が南條さんと付き合いだした時、たまたま他の男の子から告白されて、翔への悲しみから逃げるように男の子と付き合い始めたのがきっかけだった。