キスから始まる方程式


「ん……、それじゃとりあえず、工藤さんと桐生君の本当の関係くらい知っとかないと……」

「えっ……」



そう言うや否や、突然麻優は教室内をキョロキョロと見回し始めた。


そしてすぐさま「七瀬はちょっと待ってて」と言い置くと、教室に残っていた女子生徒のもとへと行ってしまった。



……? 麻優、何してるんだろう?



女子生徒と話しながら麻優が何やら難しい顔をしているのは見えるのだが、ここからではその話の内容まで聞き取ることはできない。



確か工藤さんと桐生君の関係がどうのって言ってたけど……。


でもやっぱり、本当のことを知るの、ちょっと怖いな……。





『冬真、私のこと待っててくれなかったんだね……』



昨日からずっと頭の中でループし続けている工藤さんの言葉が、私の心をまたもや沈ませる。



言葉の意味を普通に考えれば、二人は昔恋仲だったってことだよね……。



そんな二人が今こうしている間にも一緒にいると思うと、ツキンとまた胸が痛みに震えた。
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