キスから始まる方程式
またモヤモヤとよからぬことを考えているうちに、無事話を終えたらしい麻優が相変わらず難しい顔をしてパタパタと戻って来た。
「麻優、あの子達と何話してたの?」
「うーん……、それが……」
「?」
小首を傾げ、う~ん……と唸りながら指で顎をさする麻優。
「桐生君と工藤さんが前に付き合ってたことがあるなら、桐生君と同じ中学出身の子に聞けば何かわかるかなぁって思ったんだけど……」
「あぁ、確かに」
「ん~……、でもね、確かに桐生君、中学の時も今みたいにすっごくモテたらしいんだけど、同じ中学に彼女とか特にいなかったんだって」
「え?」
「おまけに、工藤さんも同じ中学にはいなかったみたい」
「それじゃ……」
「うん……」
早くも行き詰ってしまった展開に、眉根を寄せながら再び「む~」と麻優が唸る。
「悔しいけど、やっぱり本人に聞くしかないかも……」
残念そうに肩を落とした麻優が「七瀬ごめんね」と申し訳なさそうに謝ってきた。