キスから始まる方程式


「えっ!? なんで麻優が謝るの!?」

「ん~……だって、全然七瀬の力になってあげられてないし……」



そう言って、悲しそうに更にシュンとうなだれる麻優。



麻優……。



そんな麻優の気持ちがものすごく嬉しくて、私は麻優の細い肩をキュッと抱きしめた。



「そんなことないよ? 麻優はいっつも私のこと励ましてくれるでしょ?」

「でも……」

「麻優がいてくれたから部活も恋も頑張ってこられたんだよ?
もう十分過ぎる程たくさん麻優から元気もらってるよ」

「……っ、七瀬~……っ」



「それに……」と私は体を離し、麻優の可愛い鼻をムギュッとつまんだ。



「麻優の天使スマイルには、い~っつも癒してもらってますからねっ」

「うぅ……っ、七瀬~っ。 やっぱりもう桐生君なんかに七瀬は渡さな~い!」

「え? わっ、こらこらっ」

「七瀬は私のだも~んっ」



そう言って子供みたいに抱きついてくる麻優。



そんな麻優を抱き留め頭をなでなでしながら、



明日こそは桐生君とちゃんと向き合えますように……



そう心の中でそっと呟いたのだった。
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