キスから始まる方程式
◆バースデープレゼント
翌朝。
「ん~っ、気持ちいいっ」
5月の青々とした爽やかな風が通学路を吹き抜け、ミニ丈のスカートの裾を揺らしながら私の頬を撫でて行く。
大きく深呼吸をすると、吸い込んだ新鮮な空気がどんよりした私の体内を浄化してくれるようなそんな気さえした。
「今日から18才かぁ……」
真っ青に澄み渡った空を仰ぎながら、ふぅっと小さな溜め息をつく。
来年の誕生日は、桐生君が隣にいてくれるかな……。
なんとなくそんなことを思った時、不意に桐生君の隣に私ではなく工藤さんがいる姿が思い浮かんだ。
っ! やだやだやだっ! なんでこんな悪いことばっかり考えちゃうんだろっ。
今年の誕生日を桐生君と過ごすのはもう諦めたんだから、いちいち考えるのやめやめっ!
邪念を追い払うようにブンブンと大きくかぶりを振る私。
「さっ、麻優が待ってるから早く行かなくちゃ!」
そう無理矢理自分に言い聞かせた私は、立ち止まっていた足を動かし再び学校へ向けて歩き出した。