キスから始まる方程式
だけど、私が他の男の子と付き合うようになった本当の理由は、もしかしたら違うのかもしれない。
きっと私は、翔の気を引きたかったんだと思う。
そんなことをしても、私のことを何とも思っていない翔がヤキモチなんて焼いてくれるはずないのに……。
わかってはいるのだが、告白されるたびについそんなことが頭をかすめ、気が付くとOKの返事をしてしまうのだ。
しかしそんな好きでもない人との付き合いなのだから当然長続きせず、ここ半年間で瀬戸君は既に三人目の彼氏だった。
「はぁっ……」
情けなさと自己嫌悪から、思わずため息がこぼれる。
とりあえず私は自分で蒔いた種を自分で刈り取るため、相変わらず校門で待ち構えている瀬戸君のもとへと重い足を引きずりつつ向かったのだった。