キスから始まる方程式
◇手帳の代償
「あ゛~っ……疲れた~っ……」
ようやく色々あった一日を終え、伸びをするように両腕をおもいきり高く突き上げた。
結局今朝はあのあと瀬戸君と修羅場状態に陥り、えらい目にあってしまった。
いくら別れたいと言っても、一向に首を縦に振ってくれないのだ。
元はといえば好きでもない相手と付き合った自分が悪いのだが、それにしても朝からモメてばかりでいい加減疲れてしまった。
「七瀬、大丈夫?」
部活をしに体育館へと続く渡り廊下を並んで歩いていた麻優が、心配そうに私を見つめている。
その上目遣いがなんとも可愛くて、傷心の私は心底癒される思いだった。