キスから始まる方程式
―― 桐生君が好き
想いが泉のように溢れてくる。
たとえ工藤さんがまだ桐生君のことを好きでも、それでも私は……
「いるっ!!」
気が付くと私は、桐生君の首に腕を目一杯伸ばして勢いよく抱きついていた。
「言っとっけど、もちろん七瀬も俺のもんだってこと忘れんなよ?」
私の体をギュッと抱きしめて、嬉しそうな声で桐生君が呟く。
「うんっ」
そんな桐生君の言葉が無性に嬉しくて、私も精一杯想いを込めて返事をした。
好きだから……桐生君のことが誰よりも大好きだから、彼のことを信じよう。
桐生君の温もりを全身で感じながら、そう思った。