キスから始まる方程式
「でもね、未来は違うよ?
七瀬が頑張れば、桐生君とだって仲直りできるかもしれない。
風間君のことが忘れられないんだったら、これから風間君とやり直すことだって出来る。
未来は全部、七瀬自身が決めることなんだよ?」
「私自身が……決めること……」
「うんっ。だから七瀬は、もっと自分の気持ちに素直になって?
本当はどうしたいのか、本当は誰のことが好きなのか、よーく考えて答えを出して?
私は七瀬が選んだ相手だったら、桐生君でも風間君でも、どっちでも全力で応援するから」
「麻優……」
「私はずっと、七瀬の味方だよ。それだけは忘れないでね」
そう言って私に、ニッコリと優しく微笑む麻優。
私の胸の奥で、先程まではなかった何かがトクンと息づくのを感じた。
「さ~てと! いつまでもウジウジ悩んでても仕方ないし。
せっかく遊びに来たんだから、ストレス発散にパーッとカラオケにでも行こうよ!」
残っていたポテトの最後の一本を口に放り込み、麻優が勢いよく立ち上がる。
「うん……。うんっ、そだねっ!たまには パーッと行こっか!」
私もいつか、麻優が悩んでいることがあったら助けてあげたい。
こんなふうに励まして、一緒に悩んで、一緒に泣いて……。
そして麻優から貰ったたくさんの元気を、私も麻優にいっぱいいっぱい分けてあげたい。
そんな思いが胸の奥からどんどん溢れ出して、止まらなかった。