キスから始まる方程式
「っ!?」
「へへっ、消毒」
突然桐生君の傷口をペロッと舐めた私に、驚きに目を見開いた桐生君の動きがピタリと停止する。
しかし次の瞬間……
グイッ
「っ!」
勢いよく腰を引き寄せられたかと思うと、桐生君の唇が私の唇を荒々しく塞いだ。
「んっ……っ」
先程の穏やかなキスとは異なる、火傷しそうなほど熱い痺れるような口付け。
桐生君の想いが、痛いくらい伝わってくる。
ダメ……。頭の中までとけちゃいそう……。
チョコよりも甘美な桐生君の口付けに、頭が朦朧として、もう彼のこと以外何も考えられなかった。
「七瀬…… 好きだ……」
時折離れる桐生君の唇から紡がれる、飾り気のない愛の言葉。
「私も、好き……っ」
桐生君……、桐生君……っ
それに応えるように、私も心の中で繰り返し呼び続ける。
世界中で一番大切で大好きな人の名を、何度も、何度も……。