キスから始まる方程式
どどどど、どうしよう! 早く“ありがとう”って言わなくちゃいけないのに!
っと、待てよ……? それよりも先に、この前告白されて断った時のこと、もう一度ちゃんと謝ったほうがいいのかな……?
「あ、あのね、だから……その……っ」
しどろもどろ言いかけては、途中でやめる。
自分の中で整理できていないのに気ばかり逸るものだから、余計に悪循環だ。
そんなことを何度も繰り返しているうちに、ついには全く言葉が出なくなってしまった。
やだ、私ってばホント情けない……っ!
己の不甲斐なさに、真っ赤になってその場に俯く私。
翔を無駄に待たせてしまっているうえに、この状況からして絶対に困らせてしまっているに違いない。
けれども、そんなどうしようもない私を救ってくれたのは、またしても幼なじみの翔のほうだった。
「…… アイツと、仲直りできたみたいだな」
「っ!! なんで知って……!?」
まさかの翔の発言に、反射的に顔を上げる。
すると私の視界に、優しい眼差しでお日様みたいに微笑む、私の大好きな翔の顔が飛び込んで来た。
「待ち合わせって、桐生とだろ? 七瀬見てれば、それぐらいわかるよ」
「あ……」
「よかったな」
「翔……っ!」