キスから始まる方程式


「『今まで意地悪しちゃってごめん』」

「え!?」



まさかの工藤さんからの謝罪の言葉に、大袈裟なくらい大きな声をあげてしまう。



「あぁ、それと…… 『キスマークのことも全部ウソだよ』、だってさ」

「っ!?!?」



桐生君の口から次々と飛び出す仰天発言に、驚き過ぎて声にならない声が喉の奥で響いた。



キ、キスマークもそれ以外も全部ウソってことは……。


私が勝手に工藤さんの言葉から想像していた、桐生君との体の関係とかも当然なかったってことで……。



そうなってくるとやはり、桐生君が言っていたとおり過去に彼女と桐生君が付き合っていたという噂も、単なるデマだったのだろう。



赤くなったり青くなったり、ひとり百面相状態で呆然と立ち尽くす私に、桐生君が訝しげに横から顔を覗き込んでくる。



「あのさ~七瀬。“キスマーク”ってなんのこと?」

「!!!」

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