キスから始まる方程式
ギクッ!
直球ストレートで聞いてくる桐生君に、私の頬がたまらずピクリとひきつる。
「前に俺の胸のホクロがどうのって言ってたけど、それと関係あるわけ?」
ギクギクギクッ!!!
こんな時だけ凄まじく勘が鋭い桐生君に、更に追いつめられていく私。
「あ…… ハハハ、それは…… その…… 」
まさか『二人が親密で大人な関係だってことを疑ってました』などと、とてもではないが恥ずかしくて言えない。
返答に困り、しきりに左右に目を泳がせモゴモゴと口ごもる私に
「へ~? 七瀬は俺に言えないような、何かやましいことでもあるんだ?」
先程意地悪した私への逆襲とばかりに、桐生君が疑いの眼差しを鋭く向けてくる。
「うぅ~……っ」
どうしよ~! 全然言い訳がおもいつかないよ~……。
陥落寸前の私に、桐生君はまるで小悪魔のようにニヤリと、したり顔で微笑んでいる。
その表情がまたなんとも色っぽくて、こんな状況にもかかわらず、不覚にもドキドキと高鳴る鼓動が抑えられない。
完っ全にいつもの桐生君に戻ってる~! この最強無敵の桐生君に、超ダメダメな私が絶対かなうはずないよ~……。
その後も艶めく瞳にジッと見つめられ続けること数十秒。
「はうぅ~っ。わかった、わかりましたよもう……っ」
桐生君の相次ぐ猛攻についに白旗を揚げ観念した私は、工藤さんから聞かされたことや、それに伴う一部始終を渋々話し始めた。