キスから始まる方程式
不安な気持ちをおもいっきり見透かされていたことに驚き、とっさに両手で頬を覆い隠す。
もちろん本当は顔に書かれてなどいないことは、わかっているけれど……。
なんだか桐生君には他の余計なことまで全て透視されてしまいそうで、ドキドキと落ち着かない。
恥ずかしさに耐えかねた私は、そのまま執拗にゴシゴシと頬をこすると、いそいそと歩き出した。
「七瀬~、んな怒んなって」
「べ、べつに私、怒ってないもんっ」
先程とは逆に、今度は桐生君が後ろから私を追いかけてくる。
「どうせ七瀬のことだから、全部ウソだって言ってたのに、なんで凛が俺の胸のホクロのこと知ってるの?とか考えて、また悶々としてたんだろ?」
「うっ……」
またしても図星過ぎて、返す言葉がみつからない。
「でもまぁ、それについては俺も確かなことは言えないけど……」
「多分あれだな」と、いつの間にか隣に追いついた桐生君が、首を傾げながら呟いた。