キスから始まる方程式
「……あ……な……」
見つめた先に映った瀬戸君は、衝撃のあまり目を見開いたまま口をパクパクとさせ、すっかり凍りついている。
そんな瀬戸君に追い打ちをかけるように、桐生君が近付き静かに呟いた。
「これでわかっただろ? こいつは俺のもんだ」
「……っ、それは……」
「それともなにか? お前、俺よりキスが上手い自信あるわけ?」
「……っ!?」
ニヤリと自信たっぷりの笑みを口もとに浮かべながら、勝ち誇ったような目で瀬戸君を見つめる桐生君。
「……っ……! ……くっそー!!」
先日の私とのキスを思い出したのだろうか?
瀬戸君は顔を真っ赤に紅潮させ、唇をわなわなと震わせながら
「こんな顔だけの女、もういらねーよっ!」
そう捨て台詞を残し、ものすごい勢いで走り去って行った。