キスから始まる方程式

そんな中……



「ねぇねぇ、あれって桐生冬真じゃない？」

「なんか揉めてるみたいじゃん」

「え～っ！？ 一緒にいるあの女の子誰！？」



ふと気が付くと、私達の騒ぎを聞きつけたのか、いつの間にか周りに数人の人だかりができていた。



「あっ……」



やっば……！ただでさえ桐生君有名人なのに……！



我に返った私はそれ以上騒がれたくなくて桐生君に慌てて背を向けた。



「わ、私っ、もう行くから」

「え？ おいっ、ちょっと待てって」



そのまま桐生君の制止も聞かずに、人目を避けるようにして学校へと駆け出したのだった。