キスから始まる方程式
ピーッ
「はーい! じゃあ10分休憩~」
「はーいっ」
キャプテンである麻優の指示で、一斉に部員達が休憩へと入る。
私も水分補給をしつつ、持参したお気に入りの猫柄フェイスタオルで滴る汗を拭っていた。
「七瀬、今日はすっごいやる気満々じゃん」
「えっ? そ、そうかな?」
「うん! 超ド迫力ですっごく頼もしいよ」
「あ、あはは~……。たまにはほら、私も頑張んないと、ねっ……」
純粋に褒めてくれる麻優に、まさか『ストレス発散です』などと言うわけにもいかず、苦笑いをしながらごまかす私。
「これからもその調子で頼むよ~、エ~ス!」
「え? う、うんっ、頑張る、頑張っちゃうぞ~っ」
ニコニコと嬉しそうに微笑む麻優に後ろめたさを感じながら、「ごめんっ麻優!」と心の中で必死に謝った。