君とふたり暮らし。

⑥潤

 皆の話し声で目が覚めた。もう朝だ。あ~‥なんか、酒臭いな。
 ―――付き合おっか?寝てる間に、そう、言われた気がする。寝ぼけてたけど、うんって返事したはず。夢じゃないよね?酔ってた挙げ句に寝てたんだもん。はっきり覚えてるはずがない。でも今横で寝てる芦田くんと私は、コタツの中でしっかり手を握っている。きっと夢なんかじゃない。
 私が起き上がると、芦田くんもモゾモゾ動き出した。
「佐倉、今日出勤でしょ?次シャワー借りたら?ドライヤーもあるって。」
 嶋村さんにそう言われて思い出した。今日は出勤だ。やだな~。休みたい。嶋村さんと芦田くんと副店長は休みだけど、それ以外のメンバーはみんな出勤みたい。
 シャワーを浴びたら少し目も覚めてスッキリした。髪を乾かし、メイクをする私に嶋村さんが言った。
「佐倉、今日芦田くんちょっと借りるね。副店長と私と三人で紅葉見に行ってくるわ!」
「あっ‥はい。どうぞどうぞ。」
 いいなー。私も行きたい。てゆうか、借りるって‥。やっぱり、私達付き合う事になったわけね。なんか、全然実感ない。
 芦田くんはずっと私の方をニコニコしながら見てる。何よ?なんか照れちゃうじゃん。
< 43 / 44 >

この作品をシェア

pagetop