君とふたり暮らし。

②亮太 ――イライラ。

 今日はなんかイライラする。俺はついさっき起こった出来事に腹を立てていた。
 誰かに聞いて貰いたくて、携帯のアドレス帳を開く。そしてある名前の所で指が止まった。
 ―――佐倉潤。アルバイト先の女の子。俺より1コ下だけど、大人びた雰囲気の子。可愛いと言うより美人系。ちょっと気が強そうで、なんか恐い感じもする。一度だけ話したことがあったと思う。何で携帯番号知ってるんだっけ。
「まっいーや。」
 別に誰でも良かった俺は佐倉さんに電話をかけていた。
「――もしもし?」
 ちょっと不思議そうな佐倉さんの声。
「あっ、俺、誰かわかる?」
 一応、そう聞いてみた。
「うん。芦田くんでしょ?何?」
 彼女は外にいるのだろう、周りが少しざわついていた。
「今、大丈夫?」
「うん、今仕事から帰ってきて、電車降りたとこなの。」
< 6 / 44 >

この作品をシェア

pagetop