ラベンダー荘(失くしたものが見つかる場所)
翌朝。
「ごちそうさま。ああ、和食はうまい」
信也は自分の言葉に、満足げにうんうんとうなづいた。
「ねぇ」
信也の向かいから、ほぼ同時に朝食を終えたかおりは、お茶の湯気で曇った信也のメガネを睨み付けた。
「ん?」
「私が来る前、また優子になにか言ったの?」
「なにかって?……なんだよ、そんなに睨むなよ。俺は朝早く起きて、慣れなくて大変そうな優子ちゃんの朝食作りを手伝ってただけだって。」
「ほんとうにそれだけ?」
「あああ、あっアキラが帰ってきて、いま部屋にいるって教えたかな。」
「アキラ帰ってるんだ」
かおりの表情が強張る。
「いいかげん、仲直りしろよ。アキラだって何か理由があって、かおりに突っかかってるんだろうし、話し合えばいいと思うぞ」
「話すことなんて、何も……」
かおりは口ごもりそうになるが、すぐに気を取り直して口を開く。
「話が変わってる!優子、食べ終わって先に部屋に上がっていったとき、表情がなんだか昨日と違ってたの。だからまた信也が、謎がどうのこうの言って怖がらせたのかと思って」
「怖がらせたりしないよ。寝不足だろ?」
「何で分かるのよ」
信也は湯気のたったお茶をすすりながら答える。
「夜中に聞こえるアレについてちょっとな」
「言ったんじゃない!もう!あれは謎でもなんでもないでしょ!」
キレそうなかおりに信也は、しれっとして言う。
「意外に楽しんでるかもよ?なんでそんなに過剰に反応するかな。」
「自分がうわさの真相に辿りつけないからって、新しく来た子をからかうなんて信じられない!それに、ありもしない謎の話ばかり。もういい加減にして!」
一瞬信也の目から笑いが消える。
それに気づいてかおりは押し黙る。
「かおり」
「…何よ」
「ありもしないって思ってるなら、なんでまだここに住んでるんだ?」
「ごちそうさま。ああ、和食はうまい」
信也は自分の言葉に、満足げにうんうんとうなづいた。
「ねぇ」
信也の向かいから、ほぼ同時に朝食を終えたかおりは、お茶の湯気で曇った信也のメガネを睨み付けた。
「ん?」
「私が来る前、また優子になにか言ったの?」
「なにかって?……なんだよ、そんなに睨むなよ。俺は朝早く起きて、慣れなくて大変そうな優子ちゃんの朝食作りを手伝ってただけだって。」
「ほんとうにそれだけ?」
「あああ、あっアキラが帰ってきて、いま部屋にいるって教えたかな。」
「アキラ帰ってるんだ」
かおりの表情が強張る。
「いいかげん、仲直りしろよ。アキラだって何か理由があって、かおりに突っかかってるんだろうし、話し合えばいいと思うぞ」
「話すことなんて、何も……」
かおりは口ごもりそうになるが、すぐに気を取り直して口を開く。
「話が変わってる!優子、食べ終わって先に部屋に上がっていったとき、表情がなんだか昨日と違ってたの。だからまた信也が、謎がどうのこうの言って怖がらせたのかと思って」
「怖がらせたりしないよ。寝不足だろ?」
「何で分かるのよ」
信也は湯気のたったお茶をすすりながら答える。
「夜中に聞こえるアレについてちょっとな」
「言ったんじゃない!もう!あれは謎でもなんでもないでしょ!」
キレそうなかおりに信也は、しれっとして言う。
「意外に楽しんでるかもよ?なんでそんなに過剰に反応するかな。」
「自分がうわさの真相に辿りつけないからって、新しく来た子をからかうなんて信じられない!それに、ありもしない謎の話ばかり。もういい加減にして!」
一瞬信也の目から笑いが消える。
それに気づいてかおりは押し黙る。
「かおり」
「…何よ」
「ありもしないって思ってるなら、なんでまだここに住んでるんだ?」