ラベンダー荘(失くしたものが見つかる場所)
「妊娠してたって、ウサギのことだったのね」
かおりが胸をなでおろしながら言った。
出産は無事に終えたらしく、大きな白ウサギの傍らに四匹の赤ちゃんウサギが寄り集まっていた。
まだ耳も目も開いていない。
「どおりでな。やたらでかいウサギだな、と思ってたんだよ」
「ヤスがんばったんだ」
アキラが白ウサギを賞賛する。
「優子帰ってきてからずっと見てたの?」
かおりの言葉にアキラはうなずく。
「っていうか、なまえヤスなのか?」
信也が苦笑しつつ言った。
「それで―――」
アキラが続ける。
「こっちの真っ白いのがカオリで、この全身黒くてかっこいいのがあたし。それとこっちの白と黒がまざってるのがユウコ。で、白地に目の周りだけ黒いのがシンヤ」
「シンヤ、模様がメガネかけてるみたい」
私の言葉に信也は「なんでもいいけど」と言いながら手を伸ばした。
「まだ触るな!」
アキラの静止の声がかかる。
伸ばしかけた信也の手を見て、ヤスが子供の傍で身構えている。
「ヤスをこれ以上消耗させたらあぶないよ」
「しばらく、見ないほうが良さそうね」
アキラの言葉にかおりがゲージを離れる。
信也も「はいはい」とそれに従う。
「康孝さん、知ってたのかな?」
私もそっと離れながら言う。
「出産しそうだったから、連れてけなかったとか?」
かおりも首をかしげる。
「交尾から出産、子育て。すべてが康孝さんの計画のうちだと思う」
アキラの言葉に、みんながうなずく。
信也はリビングの壁に掛けられたコルクボードの写真を見た。
そこには康孝が送ってきた何枚かの葉書と、みんなでとった写真が貼ってある。
「計画がどうかは分からないけど、康孝さんはこのラベンダー荘に欠かせない人だよな」
「みんなもね」
かおりが続けた言葉に、それぞれが心の中でうなずく。
もうそれは昨日の夜、身に染みて分かったことだ。
かおりが胸をなでおろしながら言った。
出産は無事に終えたらしく、大きな白ウサギの傍らに四匹の赤ちゃんウサギが寄り集まっていた。
まだ耳も目も開いていない。
「どおりでな。やたらでかいウサギだな、と思ってたんだよ」
「ヤスがんばったんだ」
アキラが白ウサギを賞賛する。
「優子帰ってきてからずっと見てたの?」
かおりの言葉にアキラはうなずく。
「っていうか、なまえヤスなのか?」
信也が苦笑しつつ言った。
「それで―――」
アキラが続ける。
「こっちの真っ白いのがカオリで、この全身黒くてかっこいいのがあたし。それとこっちの白と黒がまざってるのがユウコ。で、白地に目の周りだけ黒いのがシンヤ」
「シンヤ、模様がメガネかけてるみたい」
私の言葉に信也は「なんでもいいけど」と言いながら手を伸ばした。
「まだ触るな!」
アキラの静止の声がかかる。
伸ばしかけた信也の手を見て、ヤスが子供の傍で身構えている。
「ヤスをこれ以上消耗させたらあぶないよ」
「しばらく、見ないほうが良さそうね」
アキラの言葉にかおりがゲージを離れる。
信也も「はいはい」とそれに従う。
「康孝さん、知ってたのかな?」
私もそっと離れながら言う。
「出産しそうだったから、連れてけなかったとか?」
かおりも首をかしげる。
「交尾から出産、子育て。すべてが康孝さんの計画のうちだと思う」
アキラの言葉に、みんながうなずく。
信也はリビングの壁に掛けられたコルクボードの写真を見た。
そこには康孝が送ってきた何枚かの葉書と、みんなでとった写真が貼ってある。
「計画がどうかは分からないけど、康孝さんはこのラベンダー荘に欠かせない人だよな」
「みんなもね」
かおりが続けた言葉に、それぞれが心の中でうなずく。
もうそれは昨日の夜、身に染みて分かったことだ。