ラベンダー荘(失くしたものが見つかる場所)
六角亭は実に狭かった。
店の前に赤い長いすが一つ。
店の中には、小さなテーブルが二つと二人掛けの椅子が三つ。
客は誰もいない。
壁には手書きのメニューが張ってある。
『串団子』
『あんみつ』
『くずきり』
「それで?一人で来たわけじゃないだろうね」
長いすに座って、足を投げ出したアキラに、温かいお茶を差し出しながら、老婆は言った。
「冷たいのが飲みたい」
「汗かいて疲れたときは温かいお茶を飲むと、回復するもんだ。だまされたと思って飲んで見なさい」
アキラは眉間に皺を寄せながら、しぶしぶ口をつける。
「そこの湧き水のお茶だよ。おいしいだろう?」
「熱い」
お茶を飲み終えると、グゥとおなかが鳴った。
「そばでも食べるかい?」
「お金ないよ」
「そんな細っこい体の子から、金なんてとれないよ」
「なら食う」
「た・べ・る」
アキラの言葉を老婆は言いなおした。
「たべる」
老婆はアキラのそれを聞いてから、そばを茹でるために奥の小さなキッチンに向かった。
店の前に赤い長いすが一つ。
店の中には、小さなテーブルが二つと二人掛けの椅子が三つ。
客は誰もいない。
壁には手書きのメニューが張ってある。
『串団子』
『あんみつ』
『くずきり』
「それで?一人で来たわけじゃないだろうね」
長いすに座って、足を投げ出したアキラに、温かいお茶を差し出しながら、老婆は言った。
「冷たいのが飲みたい」
「汗かいて疲れたときは温かいお茶を飲むと、回復するもんだ。だまされたと思って飲んで見なさい」
アキラは眉間に皺を寄せながら、しぶしぶ口をつける。
「そこの湧き水のお茶だよ。おいしいだろう?」
「熱い」
お茶を飲み終えると、グゥとおなかが鳴った。
「そばでも食べるかい?」
「お金ないよ」
「そんな細っこい体の子から、金なんてとれないよ」
「なら食う」
「た・べ・る」
アキラの言葉を老婆は言いなおした。
「たべる」
老婆はアキラのそれを聞いてから、そばを茹でるために奥の小さなキッチンに向かった。