保育士は超アイドル!〜恋していいですか?〜
第2章 突き進め
〜愛しい日々と〜
「女の子って結構、大変だよな?」
慣れない手つきで、ボールの中の溶けたチョコレートをヘラで混ぜる。
蓮はボールを両手で押さえる係り。
風人はチョコレートを溶かす係り。
二人は雑誌の企画のコーナーで、チョコレート作りをしている。
来年のバレンタインに向けてのさきがけ企画。
『男が送る、簡単手作りバレンタイン♡』
「ほんと。オレは無理だな。買う。絶対、買う。その方が早い」
トロットロに溶けて行くまろやかなチョコレートの海を見つめながら、蓮が言う。
その目は調理助手と言うより、何かの実験の助手のよう。
真剣に一点を見入っている。
「ちょっと。何か怖いよ。妖怪でもいた?」
蓮の方を見て、風人が笑いかける。
「すごくない?あんな固かったのが、トロットロ。トロントロン」
蓮のその言い方に風人はまた笑った。