保育士は超アイドル!〜恋していいですか?〜
「……って!風人、聞いてた?」
「えっ?あ、うん。聞いてた」
絆の少し怒った言葉に、風人はハッとして軽く嘘をついた。
はんとはぼんやりして何も聞いてはいなかった。
「自分から来といてさ、ずっとぼーっとしてるって。疲れてるんなら帰って寝なよ」
熱いお茶を出しながら絆は優しく言う。
疲れてるけど、そのまま家に帰りたくない時もある。
誰かに会ってから帰りたい。
絆にだってそういう日がある。
「お茶って。普通、コーヒー出さない?」
笑いながら風人は一口すすった。
ほんのりと甘味を感じる、何も邪魔しない落ち着く味。
『いいお茶使ってるな』とぽそっと呟く。
「だから聞いたんだよ。コーヒーもあるけどお茶のいいのもらったから飲む?って。コーヒーの方がいい?って三回は聞いたよ」
今度はふわっと美味しそうな大福もちが目の前に現れた。
「絆さ、いい奥さんになるよ」