保育士は超アイドル!〜恋していいですか?〜


柚は机の上のマグカップを取ると、ゆっくり口に近付けてゴクンと飲み込んだ。
ミルクたっぷりの熱いコーヒーが、混乱している心に染み込んで行く。
『ふぅ』と、浅いため息をつく。


「まだドキドキしてる」


右手を胸に軽く当てると、深呼吸した。
おかしい。
もしかして心臓が悪い?
もう歳?


『ううん』柚は頭を振ると左斜め前の席を見た。
何も置かれていない綺麗な机。
花畑 蜜の机。
途端にドクンと心臓が大きな音を立てる。
体中の血液が熱を持ったように熱くなった。
顔が赤くなって行くのが自分でも分かる。


「若いコじゃあるまいし」


苦笑いを浮かべて気持ちを落ち着かせようとする。


「まさか。……ねぇ」


胸のドキドキは加速している。
何故か、そこにいない花畑 蜜の顔が思い出されて離れない。
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