君のオレンジ〜あの日、あの教室で〜
「…千咲?」
「へっ!?な…何?」
俳優さんの音声だけが響く中
いきなり話しかけられて驚いた私の声が
シアター内に響いた。
「ちょ…声…!」
「ぁ……っ」
まわりのお客さんの視線を感じる。
「大丈夫?千咲」
涼介が私に聞こえるくらいの小さい声で
心配そうに言う。
「何が?」
「何か千咲、ボーッとしてて、上の空だったよ?」
私の様子に気づいてたみたい…
「ううん…!何でもないの!」
「そう…?
…千咲」
「ん?」
すると
涼介の顔がだんだん近づいてきた。