永遠に友達
永遠に友達
「この子、同じ会社の真弓って言うの」
涼音(すずね)は俺との食事の席に見知らぬ女子を連れて来た。ったく、やっぱりコイツはこれっぽっちも分かってない。俺がお前との時間をやっとの思いで工面して会いに来てることを。
作り笑いで挨拶すれば、その子は恥ずかしそうに顔を赤くした。きっと、いや間違いなく俺のファンなのだろう。それはそれで厄介だ。さすがにファンに無粋な態度はとれないから。
「あのっ、この前、達樹(たつき)さんの雑誌を見ました」
「それはありがとう。嬉しいよ」
またも作り笑い。俺はこんな会話をしたいがためにここに来た訳じゃない。涼音を睨み目で訴えるが、俺を見た涼音はふいっと目線を反らす。
はー…。そうかよ分かったよ。ちゃんと相手してやりゃいいんだろ。
そこからの俺は、とにかく愛想をふりまき会話を弾ませることに神経を注いだ。そしてなんとか2時間続いた俺の接待は終わりを告げたのである。
マジ疲れた。こんなことは二度としたくねぇ。
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