君の傍。


その言葉にほっとした奏丞の顔を見て、涼は笑う。





おちょくられた奏丞は、不満げに涼を見ているが、それでも楽しそうだ。






そんなやり取りをしている2人はさながら、仲のよい男子高校生。






そんな風に見えているとは露知らず、涼は歩いていた。






ふと、電信柱を見るとその影から女の子が見える。








どうせ、奏丞のファンだろうと涼は彼女に目もくれず、すたすたと学校へ向かう。














奏丞はモテる。








何故か。








なのに、特定の彼女を作らない。









その代わり、と言っちゃなんだが、ファンには異常なまでに優しい。





それで余計にモテるのだが、本人は、




『女の子には優しく。これ鉄則。』






そんなことばかり言って、へらへら笑っている。そんなヤツだ。




「あっ…」




背の方で小さな呟きが聞こえた。








< 13 / 67 >

この作品をシェア

pagetop