君の傍。
その言葉にほっとした奏丞の顔を見て、涼は笑う。
おちょくられた奏丞は、不満げに涼を見ているが、それでも楽しそうだ。
そんなやり取りをしている2人はさながら、仲のよい男子高校生。
そんな風に見えているとは露知らず、涼は歩いていた。
ふと、電信柱を見るとその影から女の子が見える。
どうせ、奏丞のファンだろうと涼は彼女に目もくれず、すたすたと学校へ向かう。
奏丞はモテる。
何故か。
なのに、特定の彼女を作らない。
その代わり、と言っちゃなんだが、ファンには異常なまでに優しい。
それで余計にモテるのだが、本人は、
『女の子には優しく。これ鉄則。』
そんなことばかり言って、へらへら笑っている。そんなヤツだ。
「あっ…」
背の方で小さな呟きが聞こえた。